第71回:何でも新しいことに挑戦 男子厨房に入るべし |
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水島南診療所所長 前 律夫 |
この歳になって、しかたなく始めたのが「料理」。いままで、ほとんどやったことがなかったので、最初はとまどいの連続であったが、やがて「こんな楽しいことはない」と思うようになった。 わたしの料理の主な先生は新聞記事と日常接している患者さん。日経新聞の土曜日の「プラス1」に載る「かんたん美味」が一番役に立つ。数多(あまた)ある料理本には「専門家」が複雑なレシピを紹介して知ったかぶりをしているが、わたしは真似ない。料理はまず簡単なのがいい。いままで一番簡単だったのは「豆腐の水切りをして、キッチンペーパーに載せ味噌を塗って一昼夜冷蔵庫に置く」、ただそれだけの料理だが豆腐と味噌の香りがマッチして、思わず「うまい」と言ってしまった。酒飲みにはこたえられない美味。同じ日経新聞の木曜日に連載される「食あれば楽あり」は何年も前から愛読しているが、著者の小泉武夫氏は醗酵学の専門家で、しかも文章が実にうまい。詳しいレシピは書いてないが、ついつい引きこまれて料理に挑戦してしまう。産経新聞の料理の欄は歴史が古く、世界の食材を一面を使って載せていたころは面白かったが、最近記事が小さくなり平凡になってしまった。
さて、いま旬の「白菜の漬け物」は白菜のタネを蒔くときから段取りを考えてやっている。この段取りの必要な「野菜つくり」や「料理」は高齢者のボケ防止にとても役立つと言われている。 ボケ防止のためにも「男子厨房に入るべし」。 患者さんに教わる料理にも教訓がいっぱいあるけど、またの機会にゆずるとしましょう。 |